2025年3月25日、芥川賞作家・九段理江氏による短編小説「影の雨」が博報堂の雑誌「広告」のリニューアル創刊号に掲載されました。この作品は、執筆の95%をAIが担当し、残り5%を九段氏が仕上げたという画期的な制作プロセスで完成しました
AIと人間の協働が生み出す新しい文学表現
「影の雨」は、AIである「私」が人間の感情の起源やその意味について思索する内容です。このテーマ自体も対話型AI「ChatGPT」が提案したものです。九段氏は作品の冒頭と結末部分を執筆し、その他の文章生成や物語構成はAIが担いました。このような制作手法は、文学表現における新しい可能性を示しています。
芥川賞作家とAIの挑戦
九段氏は2024年に芥川賞を受賞した際、AIとの創作に強い関心を示していました。今回の試みはその思想を具体化したものであり、人間とAIがどのように役割分担しながら創作を進められるかを探る実験的な取り組みです。
読者への公開と透明性
さらに注目すべき点として、九段氏は自身のX(旧Twitter)で使用したプロンプト全文を後日公開する意向を表明しています。これにより、AIを活用した創作プロセスへの理解が深まるだけでなく、他のクリエイターや研究者にとって貴重な参考資料となるでしょう。
賛否両論と未来への期待
この試みには賛否両論があります。一部では「文学における創造性とは何か」という根本的な問いが投げかけられていますが、一方でAIと人間の協働が文学や芸術表現の地平線を広げる可能性も期待されています。
4月6日には九段氏と雑誌編集部によるトークイベントが予定されており、「影の雨」の制作過程やAIとのコラボレーションについて語られる見込みです。このイベントは新たな創作手法への理解を深める場となりそうです。
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