エンジニアの思い立ったが吉日

AI・生成AI・開発ツール・業務効率化のトピックを、20年エンジニア視点で ゆるく整理しているブログです。「現場で本当に効くか」を毎回自分なりに 見極めながら書いています

Claude Code のアーティファクト。共有したページが、セッションと一緒に動き続ける

Xで流れてきた1分の動画を、つい2回見直した。Claude Code が自分の作業セッションから1枚の「動くページ」を吐き出して、それをチームに共有する。しかもセッションが進むと、共有したページのほうも勝手に書き換わっていく。ターミナルの画面をスクショしてSlackに貼る、あの地味に面倒な手順が丸ごと要らなくなるやつだ。2026年6月18日にベータで出た。

セッションの中身を、そのまま1枚のページにする

まず何ができるのか。ひとことで言うと、Claude Code が「いま自分が何をしているか」を、対話的なウェブページに変えてくれる。

ここで言うアーティファクトは、ただのスクショでも、作業ログをエクスポートした静的なファイルでもない。セッションの全部を材料にする。触っているコードベース、入れているプラグインやスキル、つないだ外部ツール、それまでのやりとり。そういう文脈をまるごと読んで、PRのウォークスルーだったり、フィルタや並べ替えのできるダッシュボードだったりを組み立てる。

作り方も拍子抜けするくらい単純で、セッション中に「これをページにして」とか「ダッシュボードで見せて」と頼むだけ。するとリンクが返ってくる。それをブラウザかデスクトップアプリで開いて、ヘッダーから共有する。共有先はプライベートなリンクなので、URLを知らない人には見えない。

で、いちばん面白いのがここから。公開された動画を見る限り、共有したあともページは固定されない。セッションが動き続けると、同じURLのままページが最新の状態に更新されていく。バージョン履歴も残る。共有相手は、いつ開いても「いまの最新」を見ている状態になる。静的な報告書を配ると配った瞬間から古くなっていくけど、これはその逆。配ったあとも勝手に育つドキュメント、と考えるとイメージが近い。

Claude.ai の「アーティファクト」とは、名前が同じだけの別物

ここで一回、整理しておきたい。「アーティファクト」と聞いて、チャット版のClaude(claude.ai)であの画面の右側にニョキッと出てくるやつを思い浮かべた人は多いはず。去年あたり、自然言語でアプリを作ってそのまま共有できるようになって話題になった、あの機能だ。

今回のはそれとは別物だと思っておいたほうがいい。名前は同じでも、出どころが違う。チャット版はチャットの会話から成果物を作るもので、Pro・Max・無料でも触れる。今回のはClaude Code、つまり開発セッションの文脈から作るもので、しかも対象がTeamとEnterpriseのプランに限られる。動き続けて自動更新される点も、組織の外には出せない点も、チャット版とは設計思想がそもそも違う。

同じ言葉で語ると現場で話が噛み合わなくなるので、社内では「Code側のアーティファクト」とでも呼び分けておくのが無難な気がする。

PRレビューやインシデント対応で、スクショ職人を引退できる

エンジニアにとっての旨味は、作業を「見せる」ときの摩擦が一気に減るところにある。

公式が例に挙げているのが、まさに現場で詰まりがちな場面ばかりだ。PRレビューなら、差分とAIの推論を並べたウォークスルーをページにする。インシデント対応なら、時系列・怪しいコミット・エラー率のチャートを1枚に集約する。セキュリティ検査の結果を、該当コード行へのリンク付きで出す。依存関係とライセンスの一覧、Terraformから拾ったクラウドコストの内訳。どれも、いつもならターミナルの出力をコピペして整形して、という手間がかかっていたところだ。

現場感覚で言うと、いちばん効くのはレビュー依頼のときだと思う。「このPR見て」とSlackにスクショを5枚貼る代わりに、リンクを1本投げる。相手はブラウザで開いて、気になる差分をその場でたどれる。あと、自動で埋まっていくリリースチェックリストというのも地味に賢い。作業が進むたびに項目が片付いていくので、進捗を聞かれるたびに状況を文章で書く、あの繰り返しが消える。

もし自分のチームに入れるなら、最初に試すのはインシデント対応のタイムラインかなと思っている。障害のさなかに「いま何が起きてるの」と各所から聞かれて、同じ説明を3回する。あれを1枚のページに集約して、勝手に最新化されるなら、説明コストはかなり下がる。

ターミナルを開かない人に、エージェントの仕事が見える

ビジネス側の見どころは、技術の話とは別のところにある。エージェントの仕事が、ターミナルを開かない人にも見えるようになる、という点だ。

この半年、Claude Code はずいぶん人が触れる範囲を広げてきた。ウェブ版が来て、モバイルに通知が飛ぶようになって、サブエージェントが別のサブエージェントを呼ぶような自律的な動き方もできるようになった。便利になる一方で、マネージャーやPdMからすると「で、結局AIは何をやったの」が見えにくくなる。ターミナルのログを読めと言われても、読めない人のほうが多い。

Code側のアーティファクトは、その溝を埋めにきている。マネージャー目線で言えば、これは「監督のための窓」だ。エージェントがどんな判断でコードを変えたのか、どこにリスクが残っているのか、それをコードを読まない人がブラウザで眺められる。レビューや意思決定のテーブルに、非エンジニアを一人増やせる。

ただし、ここはプランの話とセットになる。TeamかEnterpriseでないと使えないので、導入を検討するなら「誰のどの作業を見えるようにしたいか」を先に決めて、その人数とプランが見合うかを計算する話になる。機能単体ではなく、チームの可視化への投資として捉えると判断しやすい。

Team・Enterprise 限定で、外には出せない。ここは正直ひっかかる

いいことばかり書いてきたので、引っかかる点も正直に。

まず、まだベータだ。仕様も挙動もこれから変わる前提で見ておいたほうがいい。次に、対象がTeamとEnterpriseに限られる。個人のProやMaxで開発している人は、いまの時点では蚊帳の外。ここでけっこう人を選ぶ。

それと、共有が組織の中に閉じる。これはセキュリティ的にはむしろ正しくて、管理者が組織レベルのアクセス権や保持ポリシーを設定できるし、公開リンクにはできない。社内の機密が外に漏れる心配は小さい。とはいえ裏を返すと、受託開発でクライアントに見せたい、社外の協力会社と共有したい、という使い方はできない。フリーランスや受託中心の人には、ここがそのまま壁になる。

あと、これは触ってないので確証はないけど、自動更新には怖さもある気がする。共有したあとも最新化されるということは、見せたくない途中の状態まで「最新」として映る可能性があるということ。誰かに見せている最中にセッションを動かすときは、何が反映されるのかを意識しておかないと、事故りそうな気はする。

自分のorgで最初に1枚にするなら、どの作業か

結局のところ、これは「AIにコードを書かせる」フェーズの次、「AIが書いたものを人がどう確認し、共有するか」を解きにきた機能だと思う。コードを生成する力はもう十分に上がった。次の勝負どころは、その作業を周りに伝わる形にすることのほうにある。

TeamかEnterpriseを使っているなら、難しく考えずに1枚だけ作ってみるのがいい。いつもスクショを貼って説明している作業を1つ思い浮かべて、それをページにしてみる。PRレビューでも、障害対応のタイムラインでも、なんでもいい。リンクを1本チームに投げたときの反応を見れば、自分のチームに効くかどうかはすぐ分かる。

半年後には、PRの説明欄やインシデントの報告書が、こういう生きたページに置き換わっているチームがちらほら出てくるんじゃないか。そのとき慌てないために、いま一度どんな見え方になるのか、自分の目で確かめておく価値はあると思う。

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