Googleが提供するAIリサーチツール「NotebookLM」のモバイルアプリに、スライド資料のカスタマイズ機能が実装されました。これまでWeb版でのみ利用できた詳細設定が、Android版・iOS版でも利用可能になったことで、移動中や外出先でも本格的なプレゼン資料を作成できる環境が整いました。
本記事では、新たに追加されたカスタマイズ機能の詳細から、無料版とPro版の違い、他のAIツールとの比較、実際の業務での活用シーンまでを網羅的に解説します。
- NotebookLMとは?モバイル版の進化で何が変わったのか
- スライド作成機能の詳細設定を徹底解説
- NotebookLM無料版とPro版の比較
- 他のAIスライド作成ツールとの比較
- 実務で使える活用シーン
- 注意点とデメリット
- まとめ:NotebookLMモバイル版の進化で「いつでもどこでも」資料作成が現実に
NotebookLMとは?モバイル版の進化で何が変わったのか
NotebookLMは、ユーザーがアップロードした資料のみを参照してAIが回答を生成する点が最大の特徴です。ChatGPTやGeminiなどの一般的な生成AIとは異なり、ハルシネーション(AIによる誤情報生成)のリスクを大幅に低減できます。
これまでのモバイル版の制限
2025年11月に実装されたスライド作成機能ですが、当初モバイルアプリでは基本的なスライド生成しかできませんでした。具体的には、形式やプロンプトの指定ができず、デフォルト設定でのスライド生成のみに限定されていたのです。
2026年2月のアップデート内容
2026年2月7日より順次展開が開始された今回のアップデートにより、モバイル版でもWeb版と同等の詳細設定が可能になりました。主な追加機能は以下の通りです。
- 形式の選択:詳細なスライド/プレゼンターのスライドの切り替え
- 言語設定:日本語を含む多言語対応
- 長さの調整:短め/デフォルトの選択
- ソース選択:使用する資料の個別選択
- プロンプト入力:カスタム指示の追加
これらの機能により、出先でのスキマ時間を活用して、意図通りのスライドを作成できるようになりました。
アクセス方法
モバイルアプリでスライドカスタマイズを利用するには、NotebookLMアプリでノートブックを開き、[スタジオ] > スライド資料横の[鉛筆アイコン] をタップします。機能が表示されない場合は、アプリの更新や再起動を試してみてください。
スライド作成機能の詳細設定を徹底解説
NotebookLMのスライド作成機能は、ただ資料を読み込ませてボタンを押すだけでなく、細かくカスタマイズすることで劇的に品質が向上します。
形式の選び方:用途別の使い分けが重要
詳細なスライド - 全文と詳細を含む包括的なスライド - メールでの送信や単独での閲覧に最適 - 文字情報が多く、読み物として完結している - 活用シーン:議事録の共有、研修資料の配布、報告書の提出
プレゼンターのスライド - 重要なポイントをわかりやすく示したビジュアルスライド - 話す内容をサポートする構成 - 箇条書きやキーワード中心 - 活用シーン:社内プレゼン、営業提案、セミナー登壇
経験上、「詳細なスライド」は自分が不在でも内容が伝わる資料として有効ですが、実際にプレゼンテーションを行う場合は「プレゼンターのスライド」の方が聴衆の注意を引きやすく効果的です。
プロンプト活用のコツ
プロンプト欄に追加する指示によって、スライドの質が大きく変わります。効果的なプロンプトの書き方をご紹介します。
対象者を明確にする
若手エンジニア向けに、専門用語を避けてわかりやすく説明してください
スタイルを指定する
コンサルティング資料風に、論理的で説得力のある構成にしてください
重点ポイントを伝える
費用対効果を中心に、導入メリットを強調してください
スライド枚数を指定する
10分のプレゼンに適した7〜8枚構成でお願いします
言語・長さ・ソースの選択
言語設定 日本語を含む複数言語に対応しています。海外拠点向けの資料作成や、グローバル会議用の資料準備にも活用できます。
長さの調整 - 短め:要点を絞った簡潔なスライド(5分程度のショートプレゼン向け) - デフォルト:標準的なボリューム(15〜20分のプレゼン向け)
ソースの選択 複数の資料をアップロードしている場合、スライド作成に使用するソースを個別に選択できます。例えば、「製品仕様書」と「競合分析資料」の両方をアップロードしている場合、競合分析のみを使ったスライドを作成することも可能です。
NotebookLM無料版とPro版の比較
NotebookLMには無料版、Pro版、Enterprise版の3つのプランがあります。スライド作成機能は無料版でも利用できますが、制限があります。
料金プラン一覧
| プラン | 料金 | 提供方法 |
|---|---|---|
| 無料版 | 無料 | Googleアカウントで利用可能 |
| Pro版 | 月額2,900円 | Google AI Proサブスクリプション経由 |
| Enterprise版 | 要見積もり | Google Workspace経由(最低15ライセンス〜) |
機能制限の違い
| 項目 | 無料版 | Pro版 | Enterprise版 |
|---|---|---|---|
| ノートブック数 | 約100件 | 約500件 | 500件以上(カスタム) |
| 1ノートあたりのソース数 | 最大50件 | 最大300件 | 数百件単位 |
| 1日あたりのチャット質問 | 50件 | 500件 | カスタム |
| 音声生成 | 3回/日 | 20回/日 | カスタム |
| 動画生成 | 3回/日 | 20回/日 | カスタム |
| プレミアム機能 | なし | あり | あり(高度な管理機能付き) |
どちらを選ぶべきか
無料版が向いている人 - 個人利用や小規模な用途 - 週に数回程度の利用頻度 - まずはNotebookLMを試してみたい
Pro版が向いている人 - 日常的に業務で使用する - 大量の資料を一度に扱う必要がある - チームで活用したい - Google AI Proの他の機能(Gemini Advanced等)も利用したい
Enterprise版が向いている人 - 組織全体での導入を検討している - セキュリティと管理機能が重要 - 大規模なデータ管理が必要
注意点として、新機能は無料版→Pro版→Enterprise版の順で展開されるため、Enterprise版では最新機能がすぐに使えない場合があります。
他のAIスライド作成ツールとの比較
NotebookLM以外にも、AIを活用したスライド作成ツールは複数存在します。それぞれの特徴を理解して、適切に使い分けることが重要です。
主要な競合ツール
Gamma - 特徴:直感的なインターフェースとデザイン性 - 強み:テンプレートが豊富、PowerPoint/Google Slidesへのエクスポート可能 - 弱み:ハルシネーションのリスクがある
Manus - 特徴:ビジネス特化の論理構成とデザイン - 強み:1枚あたり約30秒という高速生成、編集可能な形式で出力 - 料金:月額約3,000円(Plus版) - 弱み:日本語対応が限定的
Gemini(Canvas機能) - 特徴:Google提供のAIによる直接スライド生成 - 強み:Google Slidesと完全統合、対話しながら修正可能 - 弱み:ソース資料の読み込みに制限がある
NotebookLMの強み
ハルシネーションのリスクが低い アップロードした資料のみを参照するため、情報の正確性が高く、企業での利用に適しています。
多様なソース形式に対応 PDF、Google ドキュメント、YouTube動画、Webサイト、音声ファイルなど、幅広い形式の資料を一元管理できます。
無料で高機能 無料版でも基本的なスライド作成機能が利用でき、個人や小規模チームには十分な機能を提供しています。
NotebookLMの弱み
編集不可のPDF形式 生成されたスライドはPDF形式で出力されるため、後から編集することができません。PowerPoint形式やGoogle Slides形式への直接出力には対応していません。
デザインの柔軟性が限定的 テンプレートやカラースキームの選択肢が少なく、企業ブランディングに合わせたカスタマイズが難しい場合があります。
生成時間が長い スライド生成に5〜10分程度かかることがあり、即座に結果が欲しい場合には不向きです。
効果的な併用テクニック
NotebookLM × Gemini 1. NotebookLMで資料を読み込み、要約や構成案を作成 2. その構成案をGeminiのCanvas機能に渡してスライド生成 3. Google Slidesとして出力し、編集可能な形式で微調整
この組み合わせにより、NotebookLMの「正確な情報整理」とGeminiの「編集可能なスライド生成」の両方を活かせます。
NotebookLM × Manus 1. NotebookLMで資料から構造化された情報を抽出 2. Manusに構成を渡してプロフェッショナルなデザインで生成 3. PowerPoint形式でエクスポートして最終調整
この方法は、ビジネスプレゼンテーションで特に効果的です。
実務で使える活用シーン
NotebookLMのスライド作成機能は、様々な業務シーンで活用できます。具体的な事例をご紹介します。
社内プレゼン資料作成
ケース1:四半期業績報告 - 売上レポートや分析データをPDFでアップロード - プロンプトで「経営層向けに数値とグラフを重視した構成」を指定 - 詳細なスライド形式で生成し、会議前に配布
ケース2:新規プロジェクト提案 - 市場調査資料、競合分析、技術仕様書を一括アップロード - プレゼンターのスライド形式で、説得力のある構成を依頼 - 生成後、重要な数値やグラフを個別に確認して精度を担保
研修資料・教育コンテンツ
ケース3:新入社員研修 - 社内規程、業務マニュアル、過去の研修資料をソースとして登録 - 「初心者向けに平易な言葉で、例を多く含めて」とプロンプトで指定 - 各セクションごとにノートブックを分けて管理
ケース4:技術勉強会 20年以上の開発経験を持つエンジニアリーダーとして、部下への技術共有は重要な責務です。NotebookLMを活用することで、最新の技術トレンドを効率的にキャッチアップし、チームメンバーに分かりやすく伝えることができます。
チームメンバーへの共有活用
ケース5:プロジェクト進捗共有 - 複数のミーティング議事録をアップロード - 「週次進捗レポートとして、課題と次のアクションを明確に」と指定 - 短め設定で簡潔なスライドを生成し、Slackで共有
ケース6:ナレッジ共有 部下の育成においては、技術スキルだけでなくコミュニケーションスキルやヒューマンスキルの向上も重要です。NotebookLMを活用して、自身の経験やノウハウを体系的にまとめることで、効果的な教育が可能になります。
- これまでの1on1ミーティングのメモや、メンバーからの相談内容をまとめた資料をソースに追加
- 「若手メンバー向けのキャリア開発ガイド」というテーマでスライド生成
- コミュニケーションのコツや、チーム運営のベストプラクティスを視覚化
注意点とデメリット
NotebookLMのスライド作成機能は非常に強力ですが、いくつか注意すべき点もあります。
AI生成のため完璧ではない 音声や映像も含めAIによって生成されるため、不正確な情報や表現の乱れが含まれる可能性があります。重要な資料では必ず内容を確認し、事実確認を行ってください。
プロンプトの品質が結果を左右する 希望通りの資料を生成するには、効果的なプロンプトの作成が不可欠です。曖昧な指示では期待通りの結果が得られないため、試行錯誤が必要です。
現状では編集機能が限定的 生成されたスライドを直接編集することはできません。修正が必要な場合は、プロンプトを調整して再生成する必要があります。
文字の可読性に課題がある場合も 画像として生成される文字が、一部崩れて表示されることがあります。特に日本語の場合、フォントの問題で読みにくくなるケースが報告されています。
まとめ:NotebookLMモバイル版の進化で「いつでもどこでも」資料作成が現実に
NotebookLMのモバイル版にスライドカスタマイズ機能が追加されたことで、移動中や外出先でも本格的なプレゼン資料を作成できる環境が整いました。Web版と同等の詳細設定が可能になったことで、用途に応じた柔軟なスライド生成が実現しています。
無料版でも十分な機能が利用できるため、まずは実際に試してみることをおすすめします。Pro版へのアップグレードは、日常的に業務で使用する場合や、大量の資料を扱う必要がある場合に検討すると良いでしょう。
他のAIツールとの併用や、Gemini・Manusなどとの組み合わせにより、さらに高度な活用も可能です。NotebookLMの「正確な情報整理」という強みを活かしながら、自身の業務フローに最適な方法を見つけていくことが、生産性向上の鍵となります。
エンジニアリーダーとして、またチームマネージャーとして、NotebookLMを活用することで資料作成の時間を大幅に削減し、本来注力すべき技術的な課題解決や部下の育成により多くの時間を割くことができます。新しいAI技術を積極的に取り入れ、チーム全体の生産性向上に繋げていきましょう。